Literature Diary

文学に関するブログです。英米文学とたまに日本文学と諸々。とかいいつつただの読書感想文。

Go Set a Watchman / Harper Lee

書こう、書きたい、どうやって、を繰り返して数カ月。

まとまらないのでふと思ったことをさらっと書き記します。

 

Go Set a Watchman

Go Set a Watchman

 

 私の持っている表紙はこちら↓の表紙のやつ。イエローナイフのこじんまりした素敵な本屋さんで買いました。

ですがこれはTeaching Guideとなっていますので、ご注意ください。

 

Go Set a Watchman Teaching Guide: Teaching Guide and Sample Chapters

Go Set a Watchman Teaching Guide: Teaching Guide and Sample Chapters

 

 日本語訳はまだ出ていないのでしょうか。。。ちょこっと検索しましたが見つかりませんでした。

ありました、ありました。邦題『さあ、見張りを立てよ』

 

さあ、見張りを立てよ

さあ、見張りを立てよ

 

 本題関係ないですが、やはり翻訳って英語力だけではなく日本語力大切ですよね。タイトル観て思いました。なるほど!と。

 

 

さて、Harper LeeさんのTo Kill a Mockingbirdはご存知の方も多いかと思います。

このブログに既に書いたかと思いきや、書いてませんでした。(というか1月から更新してませんでした。)

私はTo Kill a Mockingbirdとは10余年程前に出会いました。読んでません。短大の授業で映画の一部を観ました。結局"to kill a mockingbird":「ものまねどりを殺すこと」ってなんなのかさっぱりわからん!そして何かすごくもやもやする!というのが当時からしばらく引きずった感想です。(だってそもそもものまねどりって何よ、知らないわー。という感じ)

 

それから何年も経ってTo Kill a Mockingbirdを読み、再度映画を観、腑に落ちる感覚ともちょっと違うのですが、じわじわと何かが脳内に拡がっていって、なんとなく、"to kill a mocking bird"="sin(罪)"かなぁ、なんて思っておりました。ですがまだもやもやは全て解消されはしませんでした。

 

そんな(どんな?)To Kill a Mockingbirdの…続編といいますか、まぁその後のお話が、今回のGo Set a Watchmanです。

その後のお話だけど、書いたのはこちらの方が先だったようですね。

読む前情報として得ていたのは、

To Kill a Mockingbirdのその後のお話である

・Atticusが差別主義的でがっかりするであろう

 

というものでした。

 

結論から言うと、確かに、Atticusの変わりようには驚きました。おいおい、そんなこと言っちゃうの?と。時にはきっと、そんなこと言っちゃうのは何かの伏線で、何か理由があってのことなのだ!本心じゃないはず。等と自分を宥めながら読みましたが、そんな期待は見事に打ち砕かれました。

 

でも、がっかりしなかったのです。むしろ、あぁ、やっぱりそうなのか。という感じでした。

そして、To Kill a Mockingbirdのもやもやがすっきり。

前作で感じていたもやもやは、Atticusがあまりにも"完璧すぎる"ことによるもやもやでした。完璧過ぎて逆に疑わしいといいますか。いやいや、そんな完璧な人いないでしょうよ。っていうもやもや(捻くれてる?)

 

そして、あぁ、やっぱりそうなのか。というのは、Atticusの完璧さが崩れたからではないのです。

同じがっかりを私は前回のアメリカ大統領選で体験したのです。

9年前、オバマ氏がアメリカ大統領に選ばれた時、ほっとしたというか、さすがアメリカ!という感覚でした。時代を動かすのはアメリカなんだと。過去の過ちがなくなる訳ではないですが、そこから学び、改善し、差別をなくす足がかりになるのはきっとこの国なんだと、思いました。

 

甘かった~そしてそんな風に思った自分若かった~

差別や差別主義、差別主義者は消えていない。燻ぶるどころか、ちゃんとまだばっちり燃えているのです。これまでは、"なんとなく"、"風潮的に"声を大にして差別主義を唱えるといろいろ面倒なことになりそうだ。そんなことで職を失いたくないし。と、差別主義を表に出さないでいた人が、一定数いたということが、前回のアメリカ大統領選挙で白日の下にさらされたのではないか。と思っています。

だって大統領選にでている人が大きな声でいろいろ言っちゃって、結果その人大統領になっちゃってるし。

 

選挙速報を仕事もそっちのけで観ていたときの嫌なドキドキと、

選挙結果を知ったときのがっかりを通り超えた失望、絶望。

 

同じものを(まだ前情報があっただけ傷は浅いですが)このGo Set a Watchmanにみました。

 

余談ですが、「差別をしない」ってものすごく難しいことだと思うのです。

差別は良くないといくら分かっていても、無意識にしてしまっていることもあると思います。

ある時にはその感覚が、相手を攻撃する武器になるのではなく、自分を卑下する道具にもなり得るということを、先月までいたカナダで学びました。

すごくすごく難しい。だからこそ、Atticusにもやもやしていたんだろうなーと思います。

そして、「差別よくない!」が一人歩きしてしまうことが多々あります。

一人歩きするとどうなるか。差別主義を潜在的に持ちつつも、差別しないようにすると、どこかで何かがおかしくなる。つじつまが合わなくなる。

そうすると、それがただの「偽善」と姿を変えてしまう。Jean Louiseがそれです。

 

個人的にAtticusとJean Louiseどっちもどっち(笑)と思いながら読みました。

 

何十年も前に書いた作品にも関わらず、このGo Set a Watchmanは今のアメリカを象徴するお話だと思いました。

何十年も前に書いたからこそ、ですかね。書きながら中島みゆきが流れてきたので(頭の中で)そういうことなのでしょう。

 

♪まわるまわるよ 時代はまわる  喜び悲しみくり返し

 

ってね。

まわってほしくないですけどね、この件に関しては。

 

逸れましたが、だからLeeさんは今(正確には2015年)警鐘を鳴らすためにこの作品を出版したのかなぁ、と勝手に思っています。ひとりよがりです。えぇ。

 

いろいろ考えさせられる作品でした。(もっと上手にまとめたかった…。)

 

では、また本業に戻ります。

 

To Kill a Mockingbirdはこちら↓

 

To Kill a Mockingbird

To Kill a Mockingbird

 

 邦題は『アラバマ物語』↓

 

アラバマ物語

アラバマ物語

 

 DVD & Blu-ray

 

アラバマ物語 [DVD]

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時代/中島みゆき

♪そんな時代もあったねと いつか話せる日がくるわ …くるといいなぁ。 

時代-Time goes around-

時代-Time goes around-